2010年2月11日木曜日

「儲からないからと言って働かないのではダメだ」(尾道の女将)

ちょっと所用があって、いつもなら絶対にやらないボラれるばかりの国内旅行を敢えてして、広島県の尾道に行ってきた。例によって町はとても不景気。商店街も夕方になったらほとんど閉店となる。ようやく晩にも開いているメシ屋を探しだし「尾道は晩が早いね〜」と嘆くと林芙美子のファンらしい女将が掲題のようなことを言った。けだし名言である。

女将曰く:
  1. みんな「働いても働いても儲からない」と言って働くことを止めてしまった。
  2. しかし少しでも長く店を開けているとその分確実にお客が来るのだ。それを儲からないと言って早く店を閉めてしまうから商店街全体のお客も減る。5万円でも10万円でも、とにかく稼ぐことが大事なのに、みんな低賃金の仕事を嫌うので、イナカで働いているのは外国人ばかりになってしまった。
  3. これではニッポンはいよいよ落ち目となる。
さすがは尾道での赤貧の生活を乗り越え大成功をおさめた林芙美子のファンだと感心した。でもこの女将は少数派。イナカでは誰もが「国からいくら貰えるか」ということばかり考えているように見える(尾道ではいろいろ実感してしまった。子細省略)。国のおカネとは、われわれ納税者のお金と次世代への繰り越し借金。

ギリシャの財政赤字はニッポンとは比べものにならないくらいに小さなものだが、政府が国の借金をナントカしようとして歳出削減に踏み切った途端、既得権層である公務員がいっせいにストライキを始め、国が成り立たなくなってしまい、一般国民は悲惨なことになっている。キリギリスの尻ぬぐいさせられる質実剛健のドイツ国民はお気の毒だ。

幸か不幸か、ニッポンでは国の借金の深刻さに対する国民の自覚が少ない。おかげで政府は借金を平気で膨らませ、国民はみんなハッピー。国債を買う銀行や郵貯にお金を預けている「普通の国民」とやらのほとんどがバラマキ行政の受益者であるイナカの既得権層であるため、国家財政の破綻などと言う言葉は「みんなが忘れたい」禁句となっている。でも、ある日突然、彼らがそれに気がつき自分たちの「私有財産の保全」に走った途端、ニッポンは崩壊するのである。おカネには国籍はないから日本人のおカネでも何処にでも逃げる。基本的なところでニッポンはギリシャみたいになりつつあるのである。

ちなみに尾道では朝も遅い。9時前に開店している店はほとんどないので、モーニングコーヒーを飲む喫茶店を探すにも苦労する。みんな、海運海事規制で食っておられた昔はよかった、規制を復活させたいという。「早寝、遅起き、国頼み」。普通の人は知らないだろうけど、ニッポンの海は規制だらけ。ようやく最近ほんの少しだけ「規制緩和」されつつあるので、こういうことになった。しかしニッポン人はまだまだ「規制」で食っている。人ごとではないのである。

2 件のコメント:

flourish さんのコメント...

こんにちは。今のこの時代にあまりにもまっとうな言葉に感激し、また書き込ませていただきます。そう言えば「働かざる者、食うべからず」と言う言葉も死語になった観があります。

尾道は十数年前、広島市への出張のついでに見物して来た事があります。映画「転校生」等、風情のある町として観光で売っていたはずなのですが、その時もろくな食事所がなく、結構苦労しました。

”おもてなし”は手足も頭も細やかに存分に働かせないと出来ませんから、そういうことはやりたくない・やれる能力がない、と言うことなのだろう、と昔を思い出し、また最近行ったあちこちを思い出しながら考えた次第。

余丁町散人 さんのコメント...

こんにちは、尾道はいいところなんですが、なにぶん昔の船舶免許なんかの規制で食っているという面が大きい。規制とそれが生み出す過剰雇用がニッポンを滅ぼすという例です。林芙美子が一家三人で住んでいた部屋がいまでも残されていて、それが喫茶店になっていたりなんかして面白い町なんですが……。しかし東京物語のラストの舞台は、コンクリートの塀が出来てしまって、イマイチでした。結構、輸入の高級車に乗っている地元のお金持ちは健在なんですけどね。