2013年11月25日月曜日

リンダ・グリーンロウ『女船長 ロブスターの島に帰る』

女船長、ロブスターの島に帰る

ずっとむかしに読書メモを書いておいた本だが、メモがどっかに行ってしまった。別ブログにまぎれ込んでいたので、再録。

著者は話題になった大迫力映画「パーフェクト ストーム 」の主人公船長のライバル女船長のモデル。アメリカではベストセラーとなった。メカジキ漁を17年間続けた辣腕女船長が出身地の島(メイン州オ・ホウ島)に帰りロブスター漁をはじめる。目的は島に定住し結婚して子供を作ること。美人(写真を見よ)でユーモア精神にあふれる女性だが、なかなかうまく行かない。なにせ島には三人しか独身男性はおらず、そのうち二人はゲイ、残る一人は自分の従兄とくる。島には定住者・季節滞在者ともにいかれたアホが多くていらいらする。ロブスター漁は仕掛けの準備と設置と回収にとても労力が掛かる。文句を言わない定年退職した父親をクルー(スターンマン)としてこき使うがなかなか儲からない。しょちゅう悪態をつきながら女船長は頑張る。

オ・ホウ島の場所はここ(↓)。ニューヨークからそれほど離れているわけでもないが、完全な過疎地。島民は40名しかいない。それでも補助金なんか当てにせずにロブスターの揚がりだけで生活している。自分の食い扶持は自分で稼ぐというアメリカ資本主義の精神はまだまだ健全である。




蛇足。女船長がデイト相手をやっと見つけ自宅の夕食に招待するが、慣れない食事の準備にアプセットして、プロパンのボンベを替えようとネジを左に回すが外れずネジを潰してしまうくだりがあった。プロパンガスのボンベは右に回すと外れる構造になっている。おいらでも知っているのに、辣腕女船長は知らなかったみたい。たぶんアメリカの漁船はプロパンガスなんか積んでいないのだろう。それとも久しぶりのデートによほど舞い上がってしまったのか。

感心したこと。この島の漁船はみんな沖係留(沖留め)しているのだ。乗り込むためにはテンダー(足船)で漁船まで出向く。荷物の積み込みは公共岸壁まで船を移動させてやる。日本ではどんな辺鄙な漁港に行っても漁船は岸壁係留されている。農村・漁村に莫大な公共事業が行われたからだ。そのくせガラガラに空いている岸壁にプレジャーボートが係留しようとすると拒否する漁港が多い。日米バラマキ公共事業の差。これが自然が守られているアメリカの海岸とコンクリートだらけのニッポンの海岸線の違いを生み出した。


追記。著者リンダ・グリーンロウの公式ホームページを見つけた。ここ:

http://www.lindagreenlawbooks.com/

まだ旦那は見つかっていないみたい。

2013年11月24日日曜日

ウォルター・バジョット『ロンバード街 金融市場の解説』

この本の驚くべき点は、これが19世紀に書かれたということと、それに加えてこれほど「金融市場」についてその本質を易しく解説した本はないだろうと云うこと。小生も昔は企業の調査部でマクロ経済分析などはやらされたことがあるが、その際先輩から釘を刺されたことに「金融問題については深入りするな」という注意点があった。足し算引き算微分積分で分析できてしまうGDPとかのマクロ経済分析とは全く性質が異なるというのだ。曰く言いがたい「ヌエ」的存在とも言おうか。実際金融についてはよくわからず、ずっと金融市場は鵺(ヌエ)という印象を持っていた(同じ印象を持つ人が多いので、マネーゲームに走る悪い奴らだとか、金融業界はイメージが悪いのかも知れない)。そういう人はぜひこの本を読むべきだと思う。一言で言えば「ローマは一日にしてならず。金融も然り。金融市場は過去の経緯の地層的積み上げとして見なければならない」と言うことか。裨益するところ多大の古典的名著である。

内容を説明するのは省く。この本を読みながら箴言を少し抜き書きして twitter に書き散らしていたので、それをご紹介するに留めます。

2013年11月16日(土)1 tweetsource





@kafusanjin
「自己資本だけを運用している事業家は仕事に忙殺されることはまずない(もし非常に多忙であれば、それは何かが上手く行っていない印である)。イングランド銀行の理事は何世代にもわたってそうした人々によって構成されてきた」(ウォルター・バジョット)。……「貧乏暇なし」ではやっぱり駄目か。
posted at 14:42:04

2013年11月13日(水)1 tweetsource





@kafusanjin
「新たに必要とされるものは、何かを創造・創設することではなく、何かに適応することを通じて提供される。英国の銀行は良貨の供給のための銀行券発行と送金のための為替手形で信用を高め、徐々に預金銀行に発展してきたもの。他国が制度だけ真似しても成功しない理由」(ウォルター・バジョット
posted at 16:40:34

2013年11月10日(日)2 tweetssource





@kafusanjin
「実業界の人々は、目前のビジネスの潮流に敢えて働きかけない。その流れが通り過ぎるまでに、彼らは金を稼ぐか、稼ごうと努力をするものの、その流れがどこに向かうかを考えようとはしない」(ウォルター・バジョット)。……中国ブームと聞けば誰も彼も中国、エコブームと聞けば誰も彼もがエコ。
posted at 18:44:57
@kafusanjin
「イングランドでは借入資本に頼る進歩的な零細商人が(小利益率で同じ自己資本利益率が得られるので)自己資本に頼る保守的な大商人を駆逐する。これが英国経済覇権の秘密」(ウォルター・バジョット)。……資本を労働と読み替えてみると愕然とする。日本企業の自己資本(労働)比率は高すぎるのだ。
posted at 18:14:15

ロンバード街 (日経BPクラシックス)